青木賢人(2002)
新任教官挨拶
金沢大学文学部広報,66,2.
5月1日付けで着任しました青木賢人(あおきたつと)です.この金沢大学で初めて専任教官として籍を置くこととなりました.残念ながら最年少ではありませんでしたが,見かけ程は年を取っていません.まだまだ学生のみなさんと共通の話題で話せる年齢だと思っているのですが・・・.学部は東京学芸大学教育学部社会科教育を卒業しましたので,史学や哲学の学生も同じクラスにいて「文科系」の香りもあったのですが,大学院では東京大学理学系研究科,ポスドクでは東京大学空間情報科学研究センター,北海道大学低温科学研究所と「理学系」の畑を歩んできました.なんでも,文学部唯一の博士(理学)になるらしいです.でも実は数学や物理が苦手です・・・トホホ.
専門は「東アジアの第四紀古環境変動」を標榜しています.主に氷河地形を通して地球環境の変動を眺めてきました.日本アルプスにも「ホンの」1万年前までは,本家のアルプスやヒマラヤ山脈で見られるような氷河がありました.その頃は今よりも「ホンの」5〜7℃ほど気温が低くて,いわゆる「氷河時代」でした.森の様子も今とは大きく違って,金沢付近は現在の稚内あたりで見られる針葉樹林になっていたことでしょう.雪もずっと少なかったかな.その後の縄文時代は現在に比べて暖かく,弥生時代は寒く,平安時代は暖かく,江戸時代は寒く・・・・地球の環境って,みなさんが思っているほど安定してないのです.「動かざること山の如し,静かなること林の如し」とは言いますが,自然の時計で自然を眺めると,山は動き,林も騒がしかったことでしょう.自然は時空間的に実に多様です.そうした自然景観の変化を考えているウチに,地形に限らず気候や森林にも興味が広がり「研究上の八方美人」になってしまいました.最近ではGISなんていうツールを使いながら,地球温暖化現象や自然環境の保護なんてことも考え始めています.
「数式にはアレルギーがあるけれど,自然環境っておもしろそう!」なんて人はいませんか? 研究室(402号室)は何時でも誰でもウェルカムです.興味がある方は私のHPも覗いてみてください.
http://web.kanazawa-u.ac.jp/~geogr/staff/kent/index_j.htm